2013年2月26日火曜日

[CEDEC 2012]「ドラゴンクエストX」における開発進捗管理法とは? セッション「大規模開発のプロジェ

。  そうしたリスクを回避すべく採用した手法が,CCPM(Critical Chain Project Management,マネージャーが工程表の作り方を工夫することで,スタッフの締め切りを守る意欲を引き出し,期間短縮を図るプロジェクト管理手法)であり,荒木氏の場合は,タスクを“最短”と“最長”の二つの観点から見積もり,その差分をバッファとしてスケジュールに加えたという。  また1タスクあたりのバッファは,イタレーション単位で合算することにより,その消費度合いを把握することができる。バッファの消費が速ければ,スケジュール上に何かしらのリスクが発生したと認識できるので,早めのリスケジュールや予算変更を行えるわけである。当然,バッファを消費し尽くしてからでは遅いので,荒木氏は半分から3分の2を消費した時点で対策を取ると話していた。 ■ロードマップ  上記の3つの手法に加え,大まかなロードマップを作成することで,スタッフにプロジェクト全体の流れを把握させ,目標に至るまでのプロセスを意識させると荒木氏は語る。しかし,このロードマップが一般的なそれと異なるのは,状況に応じて随時書き替えられていく点で,氏は大きな変更やリスクが発生した場合に,安易な予算/人員の追加をしないための施策であると説明する。  このロードマップには,スタッフ各人がどの時期に,どのくらいの期間,何をやるのかが記されており,異動についても記述がある。ここでも上記のバッファの概念は適用されており,発生し得るリスクとバッファの消費度合いを比較しながら,さまざまな調整/対策を行っていく。  こうしたロードマップを使った試みには,ドラゴンクエスト10 RMT,長期にわたる開発期間の中で「今の頑張りがどこで結実するのか」をスタッフにある程度示すことで,「同じ作業が永遠に続くのではないか」という不安を払拭する効果もあるという。  しかし「ドラゴンクエストX」では,上記のとおり人員異動の件までもが記されていることを理由に,ロードマップの公開を見合わせたセクションもあったそうだ。そうしたセクションでは,進捗が滞ったり,不満が挙がったりすることがあったとのことで,今後はすべてのセクションで公開していきたいと荒木氏は述べていた。  あらためて荒木氏は,「ドラゴンクエストX」でのマネジメントの取り組みにおいて,2種類のリスクヘッジのためのバッファ管理を行ったと話す,DQ10 RMT。すなわち,スタッフ作業のリスクヘッジとしてのイタレーションごとのバッファ管理と,プロジェクトのリスクヘッジのためのロードマップ上のバッファ管理である
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